補助金の「付加価値額」を解説します

千葉県で補助金申請支援を行なっております、蜂谷行政書士事務所所長の蜂谷です。

今回は補助金における「付加価値額」を解説します。

事業再構築補助金の申請要件に、
「付加価値額」の記載があり、「補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3%以上増加する事業計画を策定する」という部分を見て気になった方がいるのではないでしょうか。
※グローバルV字回復枠のみ5.0%の増加が必要です。

この「付加価値額の増加要件」は、通常枠と特別枠の両方共に必須要件です。
・通常枠(新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換(製造業・サービス業))
・特別枠(中小企業卒業枠・グローバルV字回復枠・緊急事態宣言特別枠)

また、ものづくり補助金においても「付加価値額」の記載があります。

本記事を読めば「付加価値額」についてわかります。

結論

「営業利益+人件費+減価償却費」

各項目を以下で順番に説明します。

「付加価値額」の「増加」とは

「付加価値額の増加」とは、「付加価値額」が年率で増加するという意味で、事業再構築補助金であれば、「事業終了後3~5年で付加価値額年率3%以上増加」が要件となっているので、付加価値額増加計画が3年であれば、トータルで最終的に「9%」の向上が最低ラインで、付加価値額増加計画が5年であれば、トータルで最終的に「12%」の向上が最低ラインとなります。

言い換えると、「補助事業での利益があり」、「人材が増えたり、給料が上がったり」、「事業設備費用が増えたり」すれば付加価値額の増加といえます。

営業利益とは

営業利益の式は
「売上総利益(売上高売上原価)ー営業費用(販売費かつ一般管理費)」で表します。

・売上高(商品やサービスの合計売上であり、経費等一切引いていない総額)
・売上原価(商品や仕入れ、製造にかかった費用)
・販売費(宣伝費といった、販売に直接関わる費用のこと販売活動費用)
・一般管理費(従業員に払う給料等、販売に直接関わらない費用のこと)

減価償却とは

減価償却とは、固定資産の取得費用を購入年に全額費用計上するのではなく、その固定資産の耐用年数に応じて、年々費用計上していく事をさします。

固定資産の具体例としては、車や土地です。
事業的には、パソコンや工業機器等の機械設備です。

また耐用年数は法律で固定資産毎に決まっております。
例えば車両は、普通自動車は6年で、軽自動車は4年です。

また、費用の計上方法は2つあり、「定額法」と「定率法」があります。

簡単に説明しますと、
「定額法」は、耐用年数に応じて、毎年一定の決まった「額」を費用計上する方法。
「定率法」は、耐用年数に応じて、毎年一定の決まった「率」に応じて費用計上する方法。
「定率法」の計算部分は、現在は200%定率法という形で行います。
200%定率法とは、償却率(1÷耐用年数)に2倍をかけてその数値に応じて減価償却する方法です。

取得原価100万円の耐用年数4年の固定資産を減価償却する場合、
償却率は0.5です(計算式は(1/4)*2))。
なので初年度の減価償却費は、50万円です。
次年度は25万円といったように耐用年数まで行います。

仮に軽自動車を400万円で購入した場合。(税金等の細かい計算は省きます)
「定額法」だと、4年かけて毎年100万円を費用計上する形になります。
「定率法」だと、4年かけて、初年度は200万円、翌年は100万円といった形で終わりまで毎年費用計上します。

人件費とは

人件費につきましては、事業再構築補助金の公式サイトと、ものづくり補助金の公式サイトにそれぞれ見解がありますので引用します。

事業再構築補助金

本事業では、次のとおりとします。
(法人の場合)
以下の各項目の全てを含んだ総額を人件費とします。
・売上原価に含まれる労務費(福利厚生費、退職金等を含んだもの。)
・一般管理費に含まれる役員給与、従業員給与、賞与及び賞与引当金繰入れ、福利厚生費、退職金及び退職給与引当金繰入れ
・派遣労働者、短時間労働者の給与を外注費で処理した場合のその費用
ただし、これらの算出ができない場合においては、平均給与に従業員数を掛けることによって算出してください。
(個人事業主の場合)
青色申告決算書(損益計算書)上で以下の費目が人件費に該当します(丸数字は、所得税申告決算書の該当番号です)。
福利厚生費+給料賃金(⑲+⑳)
※個人事業主の付加価値額算定では、人件費の構成要素である㊳専従者給与(=ご家族の方等のお給料)および㊸青色申告特別控除前の所得金額(=事業主個人の儲け)の2項目を「人件費」に算入せずに計算します。Pasona

言い換えますと下記のように整理できます

・従業員給与(正社員、非正規社員、アルバイト、パート含む)
・外注費(派遣労働者、短時間労働者の給与)
・福利厚生費(社会保険、厚生年金)
・役員報酬
・賞与、賞与引当金
・退職金、退職引当金

個人事業主の場合は、
福利厚生費と給料賃金が人件費に該当します。

ものづくり補助金

Q会社全体の事業計画上の人件費にはどんな経費が含まれますか?

A下の各項目の全てを含んだ総額を人件費とします。
・売上原価に含まれる労務費(福利厚生費、退職金等を含んだもの。)
・一般管理費に含まれる役員給与、従業員給与、賞与及び賞与引当金繰入れ、福利厚生費、退職金及び退職給与引当金繰入れ
・派遣労働者、短時間労働者の給与を外注費で処理した場合のその費用
ただし、これらの算出ができない場合においては、平均給与に従業員数を掛けることによって算出してください。全国中小企業団体中央会

「付加価値額」の審査方法

「付加価値額」の記載は申請時に行うものであり、この部分に関しては未来の事になりますので、申請時点では事業計画書において、その旨を記載すれば良いです。

記載内容は、現状の「付加価値額」が、補助事業計画を実施する事によって、要件は補助金毎に異なりますが要件以上に増加する計画であれば問題ありません。
比較対象は、「補助事業終了年度の付加価値額」と「補助事業終了年度後3~5年での付加価値額」です。

なので、現状の付加価値額を計算したあとで、今後の付加価値額が増加する計画を立てる必要があります。
繰り返しになりますが、「営業利益」と「人件費」と「減価償却費」が増加する計画を立てます。

「ものづくり補助金」においても「事業再構築補助金」においても設備投資が多いと思いますが、その部分は「減価償却費」に当てはまる部分ですので、購入するモノの費用を踏まえたシュミレーションも必要になります。

そして審査側は、あまりにも飛躍し過ぎな計画や、根拠のない計画は不採択にせざるを得ませんので、整合性のある記載をしましょう。

また記載した「付加価値額」に関しては、補助事業終了後も、毎年度の事業化状況等報告などにおいて「伸び率の達成状況の確認」が行われます。

「付加価値額増加」の「増加」開始地点はどこから??

この部分に関しても事業再構築補助金の公式サイトに見解がありますので引用します。

補助事業終了月の属する申請者における決算年度を基準とします。 (例)毎年5月決算の法人の場合 交付決定:2021年6月 補助事業終了:2022年4月→基準年度:2022年5月 補助事業終了:2022年6月→基準年度:2023年5月Pasona

ものづくり補助金における「付加価値額」

ものづくり補助金における個人事業主の場合は、若干異なり下記式になります。

営業利益(㉝ + ㉒)+ 減価償却費⑱ + 福利厚生費⑲ + 給料賃金⑳
(丸数字は「所得税申告決算書」の該当番号)
※「㊳専従者給与」と「㊸青色申告特別控除前の所得金額」は上記式内に含みませんので間違えないようにしましょう。

最後に

「付加価値」についてご理解いただけましたでしょうか。

この部分は必須要件になっている補助金もありますので、しっかりとした理解が必要です。

当事務所では補助金申請支援を行っておりますので、申請を考えている方やわからない事がある方は、お気軽にお問い合わせください。