ものづくり補助金・通常型の概要を説明します

概要

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金は、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更(働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入等)等に対応するため、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。全国中小企業団体中央会

ものづくり補助金は、新商品開発や設備導入費用に対して補助が出ます

革新的サービス開発とは

ものづくり補助金に関しての質問を当事務所にも頂きますが、中でも「公式サイトに記載の要件として、革新的サービス開発とあるがどの程度の革新を求められるか」という質問が多いです。
これは公式サイトにも公募要領にも、どの程度の革新性が求められるかといった記載はありません。
そのため、公表されている審査項目や、実際に採択された事業者の事業内容をみて推測する形にはなりますが、以下のように整理されると思います。
・誰も認知していないレベルの革新性は求められていない
・事業者にとっては、今まで一度も開発や実施した事のない、新商品や試作品、生産性向上といった新しい取り組みであること
・また、事業者の事業範囲となる事業形態や業界の中で、ほとんど浸透していない商品であったり、生産性向上の取り組みであること。

補助金を受け取るメリット

自社の支出を抑えて新商品開発、生産性向上、コスト削減を行える

ものづくり補助金は基本的に返済が不要のため、本来であれば事業者負担となる費用を補助金でカバーすることができるので、利用することで負担を軽減しながら事業を改善、向上できます。

事業計画を作成する事により計画的な事業運営ができる

ものづくり補助金の申請には、事業計画の提出が必要です。また事業計画は整合性や収益性を求められるためその部分を含めてしっかり作ることが必要です。
なので結果的に申請が採択されれば、ある程度のクオリティがある事業計画という事になりますので、その道筋に沿って事業を行えば、無計画で事業展開をするよりもいい結果に

対象要件(以下3つを満たす必要があります)

資本金または従業員数が一定水準以下

業種資本金従業員数
ソフトウェア業または情報処理サービス業、
製造業、建設業、運輸業、その他
3億円以下300人以下
ゴム製品製造業3億円以下900人以下
卸売業1億円以下100人以下
旅館業5,000万円以下200人以下
その他サービス業5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下

資本金と従業員数のどちらかが要件を満たしていれば問題ありません。資本金と従業員数ともに規定数以上の場合は補助金支給対象外事業者となります。
ただし、みなし大企業過少資本企業の場合は対象外です。

また、財団法人、社団法人、医療法人、学校法人は対象外です。
特定非営利活動法人の場合は、広く中小企業一般の振興や発展に関与すると考えられ、また従業員数が300人以下である場合は対象となります。

申請時点で既に創業(開業)している

創業融資とは違い、申請の時には既に創業している必要があるので、創業前に申請をしても、要件を満たさず不採択になりますので、注意が必要です。

賃金引上げ計画を従業員に表明

①試作品開発や生産性向上のための事業計画終了までに、役員従業員の給与支給総額が年率1.5%以上増加する
②事業計画終了までに、最低賃金を地域別最低賃金の+30円以上の水準にする
③事業計画終了までに、付加価値を年率平均3%以上増加する。付加価値=営業利益+人件費+減価償却費

補助内容

補助額

中小企業1/2上限1,000万円 (機械装置、システム構築費以外の経費は500万円以内)
小規模事業者2/3上限1,000万円 (機械装置、システム構築費以外の経費は500万円以内)

補助対象経費

①機械装置費システム構築費
②技術導入費
③専門家経費
④運搬費
⑤クラウドサービス利用費
⑥原材料費
⑦外注費
⑧知的財産権等関連経費
⑨グローバル展開型のみ海外旅費
⑩広告宣伝販売促進費(低感染リスク型ビジネス枠のみ)

※単に機械装置の買い替えで、老朽化したからや、ただ生産性向上のためのソフトフェア導入は対象とはなりません。

補助対象外経費

・役員報酬
・給与手当
・事務所家賃
・敷金礼金
・駐車場家賃
・消耗品費
・水道光熱費
・通信費
・接待交際費
・会議費
・税理士費用
・弁護士費用
・支払利息

活用例

・夫婦経営のカフェで、クッキー生地でできた食べられるコーヒーカップを開発。補助金を利用し、コーヒーカップ製造機を開発。手作業時と比較し生産コストは10分の1にまで削減。またインスタ映えするとの事で全国で大ヒット。

・寝具販促のため補助金を利用し、寝心地を計測するセンサーを開発。その結果、顧客にフィットする寝具を提案する、営業が活性化し、新たな顧客層を獲得。

上記2つは、ものづくり補助金において実際に採択された事業例を記載しましたが、内容からもわかるように、基本的には、何かを作りその作る過程においての費用の補助金です。そこを押さえれば、新商品開発のためにも、新商品を作るために必要な設備費の補助にもなることがわかるかと思います。

採択率

締切回採択公表日申請数採択者数採択率
第1次・令和2年4月28日2,2871,42962.4%
第2次・令和2年6月30日5,7213,26741.9%
第3次・令和2年9月25日6,9232,63720.7%
第4次・令和3年2月18日10,0413,13224.6%

提出書類

※申請方法は、電子申請システム(jGrants)で行います。jGrantsとは、補助金の申請・届出ができる電子申請システムで、申請にはGビズIDプライムアカウントが必要です。GビズIDプライムアカウントの発行には、2〜3週間要しますので、補助金の申請をご検討されている方は、事前のID取得がおすすめです。

必須書類

   ①決算報告書(直近2年間の貸借対照表、損益計算書等)

   ②賃上げ計画の表明書

   ③事業計画書(採択の一番の決め手となる部分)

加点書類

    ①経営革新計画の認定書

    ②事業継続力強化計画の認定書

    ③強気の賃金引上げ計画を表明している事業者

事業形態によって提出が異なる書類

    ①労働者名簿(小規模事業者の場合)

    ②履歴事項全部証明書(設立後5年未満の場合)

    ③開業届(個人事業主で開業後5年未満の場合)

審査項目

補助金支給の対象事業形態かどうかはもちろん確認されますが、そのほかにも、補助金を支給する価値のある事業者かどうかを審査するために、補助金の支給側は、補助金申請事業者の事業計画書を見て判断します。
そこで審査側が事業計画においてどの部分を見るのかを説明します。

技術面

  • 革新的開発(新製品、新技術、新サービス)。どの程度の革新性を要するかは「概要」欄にて説明しております。
  • 補助事業の実現体制備わっているか(技術能力や組織能力)
  • 事業において課題や改善、目標が明確化し、それを実現するための製品やサービスが明確化しているか。またその課題や目標改善のための製品やサービスは適切な開発か


事業面

  • 補助事業が実現可能か(会計面や人材面)
  • 市場性を有しているか(市場ニーズ・市場規模・ペルソナ設定)
  • 事業効果はあるか(事業収入・性能面での価値創造・収益性)
  • 事業計画の妥当性(事業の実行方法やスケジュール、費用対効果があるか)

政策面

  • 地域の特性を生かして、地域経済へ高い付加価値を生み出し、その結果経済的な波及効果を及ぼすか
  • 特定市場で上の地位を築く潜在性があるか
  • 環境に配慮したエコロジックな持続可能な事業計画か

事業計画書フォーマット

事業計画書は、合計10ページ程度が原則です。

1.補助事業の具体的取組内容
①本事業の目的・手段について、今までの自社での取組みの経緯・内容をはじめ、今回の補助事業で機械装置等を取得しなければならない必要性を記載。また、課題を解決するため、不可欠な工程ごとの開発内容、材料や機械装置等を明確にしながら、具体的な目標及びその具体的な達成手段を記載




②応募申請する事業分野(「試作品開発・生産プロセス改善」又は「サービス開発・新提供方式導入」)に応じて、事業計画と「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」又は「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」との関連性を記載。




③本事業を行うことによって、どのように他者と差別化し競争力強化が実現するかについて、その方法や仕組み、実施体制などを記載。



2.将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)
①本事業の成果が寄与すると想定している具体的なユーザー、マーケット及び市場規模等について、その成果の価格的・性能的な優位性・収益性や現在の市場規模も踏まえて記載




②事業化見込みについて、目標となる時期・売上規模・量産化時の製品等の価格等について簡潔に記載



採択されるためのポイント

ものづくり補助金において採択されるかどうかは、申請事業者の事業計画で決まります。
事業計画の対面でのプレゼンテーションはなく、採択判断者が書類上の事業計画書を見て判断します。
そこで採択されやすい事業計画書の作り方を説明します。

公募要領に沿った記載をする

ものづくり補助金においては、公募要領がありどの点を見て判断するか記載があります。
なので当たり前の事に感じますが、聞いている事に沿って記入をしてください。
聞いている事については、上記「事業計画書フォーマット」や公式サイトの公募要領を確認してください。
よくありがちなのが、書いているうちに熱が入ってしまい、公募要領で聞いてもいない事をどんどん書いてしまうパターンがあります。これはどんな力説をしていても全く加点にならず、むしろマイナス加点となる場合がありますので、気をつけてください。


事業計画は誰が見てもわかるぐらいにわかりやすく書く

事業計画は、審査項目に当てはまっているかを見られます。
特に確認される部分は「革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善」を申請事業計画は行うかどうかです。

また、事業計画書を審査する審査員は、中小企業診断士などの専門家が行いますが、申請事業者の業界を熟知しているとは限りません。
そのため、わかりやすい記載が必要です。

具体的には、専門用語はなるべく使用せず、使用する場合も説明をしてください。
画像や図を貼り付けるのも有効な手段です。
また、書いてある事に整合性があるかを確認したり、重複した記載がないかを確認してください。

加点項目

例年補助金の目的に合った事業を選ぶために、一定の要件を満たす事業者については、点数を加点することが行われています。ここでは加点の項目について説明します。

成長性加点

経営革新計画の取得(取得予定)事業者

政策加点

小規模事業者又は、創業、第2創業後間もない事業者(具体的には5年以内)

災害等加点

①「新型コロナウイルスの影響を受け、サプライチェーンの毀損等に対応するための設備投資等に取り組む事業者」


②「有効な期間の事業継続力強化計画の認定取得(取得予定)事業者」

賃上げ加点等

①「補助事業計画で、給与の支給総額を年率平均2%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+60円以上の水準にする計画を有し従業員に表明している事業者」or「事業計画期間において、給与支給総額を年率平均3%以上増加させ、かつ、事業場内最低賃金を地域別最低賃金+90円以上の水準にする計画を有し、従業員に表明している事業者」
→賃上げ計画の表明書はそもそも必須の提出書類となっていますが、そこから更に強気な賃上げを行う事により加点が付くという事です。

②「被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合」

全体スケジュール

①補助金応募申請書の提出(自社取り組み)

②採択結果の発表

③交付決定通知

④交付申請書の提出・設備の発注(自社取り組み)

⑤遂行状況報告書提出(自社取り組み)

⑥中間監査

⑦設備導入・支払(自社取り組み)

⑧実績報告書の提出(自社取り組み)

⑨確定監査・補助金額確定通知

⑩補助金精算払請求書提出(自社取り組み)

⑪補助金の入金  

留意事項

補助金申請から補助金を受け取るまでの間で、特に注意すべき点を解説します。

採択が決まった後で、補助対象経費の購入及び、補助事業計画を実行する

申請が通り採択された事業者様は、補助事業計画を行う必要があります。
そのためただ事業計画に記載したモノを購入するだけではなく、事業計画に沿った行動を行い、その購入の証拠や事業報告書を提出することで補助金が支払われます。
また基本的に購入するモノは採択前に購入しても補助対象経費となりませんので、採択された後に購入するという事を理解しましょう。

導入設備の管理について

前提として導入したモノは、完全に自分のモノになるわけではありまんせん。自身と国の半々で所有しているイメージに近いです。
他の補助金にも言える事ですが、補助対象経費で導入したモノを補助金支給先の許可なく勝手に処分したり、他の事業に貸し出することはできず、許可を得て処分する場合は、処分代金において返納義務が生じます。
なので、基本的に補助金で導入したモノは、売ったり貸し出したりしようとは考えない方が良いです。

補助事業実行後の報告義務

補助事業が終了してもそこから5年間報告義務があります。
具体的には、会社の収益や補助対象事業の進捗についてです。
なので補助事業においての要した経費の管理や補助事業内容を記録しておく必要があります。

最後に

今回は、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の全体像を書きました。


ものづくり補助金は、製造業しか申請できないと思われがちな補助金ですが、事業内容や取り組みによっては、サービス業でも申請は可能です。

最大補助額が1,000万円と比較的高く、直近の採択率は申請数が増えたこともあり下がってきていますが、ほぼ受からないという訳ではなく、しっかりとした事業計画を作ることができれば採択も考えられます。

弊社では、ものづくり補助金の申請サポートや、初回無料ヒアリング・無料説明会を行っております。

新商品の開発、商品生産コスト削減を行いたいと考えている事業者の方は、お気軽にお問い合わせください。